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第4章 - セクション3

指示を正しく理解する技術

PMやディレクターからの指示の意図を読み解き、適切に質問する力

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先生、学校の委員会活動で「ポスターを作って」って頼まれて作ったんですけど、「イメージと違う」って言われちゃったんです。ちゃんと言われた通りに作ったのに…

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それは辛かったね。実はそういうことは、学校でも会社でもよく起こるんだ。今日は「指示を正しく理解する」という、エンジニアになっても役立つ大切なスキルについて話そう。

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指示通りにやったのに違うって言われるなんて、理不尽じゃないですか?

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気持ちはわかる。でもね、実は「指示通り」と思っていても、指示する側と受ける側で理解にズレが生じることがあるんだ。将来エンジニアとして働くときにも必ず役立つスキルだから、一緒に学んでいこう。

なぜ「指示通り」なのに違うと言われるのか

エンジニアとして働く中で、PM(プロジェクトマネージャー)やディレクターから指示を受けて作業を進めることは日常的にあります。彼らはプロジェクト全体を管理し、エンジニアに「何を作るか」を指示する役割を担っています。

しかし、「言われた通りに作った」はずなのに期待と違う結果になってしまうことがあります。これは決して理不尽なことではなく、コミュニケーションの過程で起こる自然な現象なのです。

言葉の解釈には個人差がある

同じ言葉でも、人によって受け取り方が違います。特に技術者と非技術者では、背景知識の違いから解釈にズレが生じやすいのです。

たとえば、「ボタンを目立たせて」という指示があったとします。

表面的な理解 vs 意図まで理解
同じ指示でも理解の深さで結果が変わる
表面的な理解
言葉をそのまま受け取る
「ボタンを目立たせて」
→ 単純にサイズを2倍に拡大
見た目だけの変更
フォントサイズを大きくしただけ
背景や文脈を無視
なぜ目立たせるのかを考えない
確認せずに実装
自分の解釈だけで進めてしまう
意図まで理解
目的を把握して判断
「なぜ目立たせるのか」
→ ユーザーに押してほしいから
総合的なアプローチ
色・配置・余白・コントラストを考慮
目的を達成する設計
クリック率向上という目標を意識
確認してから実装
具体的なイメージを共有する
「なぜそうするのか」を理解することが重要
指示の背景や目的を理解することで、より的確なアウトプットができます。わからない場合は質問して、認識を合わせることが大切です。
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確かに、「目立たせる」って言われたら、僕は色を変えることを考えるかもしれません。

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そうだね。人によって解釈が違うのは当然なんだ。だからこそ、指示を受けたときに「確認する」ことが重要になってくるんだよ。

指示を受け取る時に確認すべき5つのポイント

指示を正しく理解するためには、受け取った時点で必要な情報が揃っているかを確認することが大切です。

よく「5W1H」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは「What(何を)」「Why(なぜ)」「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「How(どのように)」の頭文字を取ったもので、物事を整理するときの基本的な考え方です。

仕事の指示でも同じです。これらの要素が明確になっていないと、認識のズレが生じやすくなります。特に以下の5つのポイントを意識しましょう。

  • 目的(Why)
    • なぜこの作業が必要なのか。ビジネス上の理由や背景を理解することで、より適切な判断ができます。たとえば「ボタンを目立たせる」という指示も、目的が「クリック率を上げたい」なのか「デザイン的なアクセントがほしい」なのかで、アプローチが変わります。
  • 具体的な成果物(What)
    • 何を作るのか。完成形のイメージを共有し、期待値を合わせることが重要です。可能であれば参考画像やワイヤーフレーム(画面の設計図)を見せてもらいましょう。
  • 方法や制約(How)
    • どう作るか、どんな制限があるか。技術的な制約や使用すべきツール、デザインルールなどを確認します。「自由に作っていい」と言われても、実は暗黙のルールがあることも多いです。
  • 期限(When)
    • いつまでに完成させるか。優先度を理解し、スケジュールを調整するために必要です。「できるだけ早く」という曖昧な表現ではなく、具体的な日時を確認しましょう。
  • 優先度(Priority)
    • 他のタスクとの関係性。複数のタスクがある場合、どれを優先すべきかを明確にします。すべてが「急ぎ」ということはないので、相対的な優先順位をつけてもらうことが大切です。
すべてが最初から明確とは限らない

実際の現場では、指示が曖昧なこともよくあります。その場合は、自分から質問して情報を引き出すことが求められます。「わからないまま進める」のではなく、「わからないことを明確にする」のがプロの仕事です。

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でも、いちいち全部確認すると、細かすぎて嫌がられませんか?

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良い質問だね。確認の仕方にもコツがあるんだ。次は、効果的な質問の方法を見ていこう。

効果的な質問の仕方

質問は「タイミング」と「伝え方」が重要です。適切な質問は、相手の時間を尊重しながら、必要な情報を引き出すことができます。

質問のタイミング

  • 指示を受けた直後(その場で確認)
    • 疑問点があればその場で確認するのが最も効率的です。特に、理解できなかった部分や曖昧な表現については、すぐに質問しましょう。
  • 作業開始前(全体像の確認)
    • 実装に入る前に、もう一度全体の流れや完成イメージを確認します。この段階で認識のズレを修正できれば、手戻りを防げます。
  • 作業中(疑問が生じた時点)
    • 実装を進める中で新たな疑問が出てきたら、すぐに質問することが大切です。「後で聞こう」と思っていると、間違った方向で進んでしまうことがあります。
完成前に必ず途中確認を取ろう

全部作ってから見せると、「思ってたのと違う」となるリスクがあります。全体の20-30%(レイアウト案や主要機能のモックなど)ができた段階で一度確認を取ることで、大きな手戻りを防げます。「まだ途中ですが、この方向性で合っていますか?」と聞くと、相手も気軽にフィードバックをくれます。早めの確認は、プロとして賢い働き方です。

質問の3つの型

質問にはいくつかのパターンがあります。状況に応じて使い分けることで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。

  • 確認型
    • 自分の理解が正しいかを確認する質問です。「〇〇という理解で合っていますか?」と聞くことで、認識のズレを防ぎます。
  • 選択肢提示型
    • 複数の方法を提案し、どれが適切かを選んでもらう質問です。「AとBの2つの方法がありますが、どちらが良いでしょうか?」と聞くことで、判断を仰ぎます。
  • 提案型
    • より良い方法を提案しながら確認する質問です。「〇〇の方が効率的だと思いますが、いかがでしょうか?」と聞くことで、積極的に改善案を示します。
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なるほど、ただ「わかりません」じゃなくて、自分の考えを示してから質問するんですね。

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その通り。そうすることで、相手も「この人は考えているな」と感じてくれるし、より具体的なアドバイスをもらえるようになるんだ。

良い質問と悪い質問の例

実際の質問例を見てみましょう。どのように聞くかで、相手に与える印象や得られる情報の質が大きく変わります。

悪い質問例:曖昧で答えにくい

何がわからないのか、どこまで調べたのかが不明確だと、相手は追加で質問しなければならず、やりとりが増えてしまいます。

「これどうすればいいですか?」
→ 何がわからないのか不明確

「わかりません」
→ 何がわからないのか伝わらない

「できません」
→ 何が障害になっているのか不明

「やり方教えてください」
→ どこまで調べたのか、何が不明なのか不明確
良い質問例:具体的で答えやすい

自分の理解や選択肢を示し、試したことや仮説を伝えることで、相手は即座に判断でき、的確なアドバイスをもらえます。

「ボタンのデザインですが、角丸の半径は8pxと16pxのどちらが良いでしょうか?」
→ 選択肢を提示している

「〇〇という理解で進めて良いですか?もし違っていたら教えてください」
→ 自分の理解を示している

「△△を試しましたが□□というエラーが出ます。
××が原因と考えていますが、確認方法を教えてください」
→ 試したこと、現状、仮説を示している

「このデザインは、スマホでの操作性を重視すべきですか?
それともPC表示を優先すべきですか?」
→ 判断基準を確認している
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なるほど、自分で考えた上で具体的に聞くことが大事なんですね。

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その通り。質問する前に、自分で調べたり考えたりすることで、より深い理解につながるんだ。そして、AIもこの過程を助けてくれるよ。

AIを活用した指示の理解と整理

現代のエンジニアは、AIツールを活用することで、指示の理解や質問の準備をより効率的に行えます。AIは「わからないこと」を整理したり、質問の仕方をブラッシュアップしたりする「相談相手」として活用できます。

指示の整理と質問の添削にAIを使う

受け取った指示が複雑だったり、情報が散らばっている場合、AIに整理してもらうことで理解しやすくなります。

【AIへのプロンプト例:指示の整理】

以下の指示内容を整理して、
5W1H(What/Why/How/When/Who/Where)の形式でまとめてください。
また、不明確な点や確認が必要な項目があれば指摘してください。

---
[ここに受け取った指示をコピペ]
---

ChatGPTやClaudeなどのAIに上記のように聞くことで、指示を構造化して理解しやすくできます。

また、質問を送る前に、AIに添削してもらうことで、より明確で答えやすい質問にできます。

【AIへのプロンプト例:質問の添削】

以下の質問を、相手が答えやすく、
必要な情報が得られるように改善してください。

---
[ここに自分が考えた質問を書く]
---

改善ポイント:
- 具体性があるか
- 背景や状況が伝わるか
- 選択肢や提案が含まれているか
- 相手の時間を尊重しているか
AIは下書きを磨く道具として使う

AIに質問文を丸投げするのではなく、まず自分で考えた質問をAIに改善してもらうという使い方がおすすめです。これにより、自分の質問力も向上していきます。

議事録や会議メモの自動生成

オンライン会議では、AI議事録ツールを活用することで、指示内容を正確に記録できます。

AI議事録ツールの活用
会話の内容を自動で記録・整理
Otter.ai
英語の会議に強い。リアルタイム文字起こしと要約機能が優秀です。無料プランでも月600分まで利用可能。
Fireflies.ai
チーム向けの議事録ツール。会議の録音・文字起こし・要約を自動で行い、タスクを抽出してくれます。
Rimo Voice
日本語に特化した議事録ツール。日本語の会議を高精度で文字起こしし、要約してくれます。
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会議の内容を記録してくれるなんて便利ですね。でも、クラウドソーシングみたいに直接お客さんとやり取りする場合はどうすればいいんですか?

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そうだね、ここまでは主にエージェント経由で参画した案件を想定していたけど、小規模案件では状況が少し違うんだ。その場合のポイントも見ていこう。

小規模案件での顧客ヒアリング

ここまで説明してきたのは、主にエージェント経由で参画する案件での話です。そういった案件では、PMやディレクターが間に入って要件を整理してくれます。

しかし、クラウドソーシングや個人受託の小規模案件では、PMを介さずに直接クライアントとやり取りすることがあります。この場合、エンジニアである自分が、必要な情報を聞き出す役割も担う必要があります。

つまり、ここまで学んだ「指示を理解する力」を、今度は「質問して情報を引き出す力」として応用するわけです。

確認すべき基本項目

初回のやり取りでは、以下のような項目を確認しておくことで、後のトラブルを防げます。

初回ヒアリングで確認すべき項目
認識のズレを防ぐための基本事項
目的と背景
何のために作るのか、どんな課題を解決したいのかを理解します。
デザインの好み
色やスタイルの好みを確認し、参考サイトがあれば共有してもらいます。
機能の優先順位
必須機能とあれば嬉しい機能を分けて理解します。
納期と予算
現実的なスケジュールと予算の範囲を確認します。

ヒアリングシートを活用する

事前に質問項目をまとめたシートを用意しておくと、聞き漏れを防げます。AIに叩き台を作ってもらい、自分なりにカスタマイズするのがおすすめです。

# ヒアリングシート(Webサイト制作の例)

## 基本情報
- お名前・会社名:
- 連絡先(メール・電話):
- 希望納期:
- 予算:

## プロジェクトの目的
- サイトを作る目的:
- 解決したい課題:
- ターゲットユーザー:

## デザイン・イメージ
- 参考にしたいサイト(URL):
- 好きな色・避けたい色:
- 全体のイメージ(シンプル/華やか/かわいい等):

## 必要な機能
- 必須の機能:
- できればほしい機能:
- 将来的に追加したい機能:

## 納品形態
- 納品方法(サーバーアップ/ファイル納品):
- 運用方法(自分で更新/依頼したい):
- 保守サポートの希望:
小規模案件では柔軟な対応が求められる

大規模案件と違い、小規模案件では仕様が曖昧なことも多いです。ただし、曖昧なまま進めるのではなく、このようなシートを使って丁寧に確認することで、信頼関係を築けます。

まとめ

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指示を理解するって、技術力じゃなくてコミュニケーション力なんですね。

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そう。でも「コミュニケーション力」っていうと難しく聞こえるかもしれないけど、実は「わからないことを聞く勇気」と「確認する習慣」があれば大丈夫なんだ。

女子生徒のアイコン

AIで質問を添削してもらえるのも心強いですね。恥ずかしがらずに聞くことが大事なんですね。

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その通り。質問することは恥ずかしいことじゃない。むしろ、わからないまま進めて手戻りになる方が、チーム全体に迷惑をかけることになるんだよ。

指示を正しく理解するためのポイント
  • 指示の意図を理解する 言葉の裏にある目的や背景を読み解くことが重要です
  • 5W1Hで確認する What/Why/How/When/Who/Whereを明確にすることで認識のズレを防げます
  • 質問は早めに 作業開始前に疑問を解消することで、手戻りを防げます
  • 具体的に質問する 自分の理解や選択肢を示すことで、相手が答えやすくなります
  • AIで整理・添削 ツールを活用して理解を深め、質問の質を高めましょう
  • 小規模案件では自分でヒアリング ヒアリングシートを使って漏れなく確認します

次回は、スケジュール管理と締切との付き合い方について学びます。指示を正しく理解した上で、どう時間を管理するかが次のステップです。

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