ポートフォリオの本当の目的
ポートフォリオサイトの目的は、「作品を見せること」ではありません。クライアントに信頼してもらうことです。
クライアントは案件を発注する前に、必ずこう考えます。
- 仕事ができるのか? スキルや実績から判断される
- コミュニケーションは取りやすそうか? 文章の書き方から伝わる
- 自分のプロジェクトに合う人か? 得意分野や経験から判断される
ポートフォリオは、これらの疑問に答えるためのツールです。
クライアントが本当に知りたいこと
クライアントがポートフォリオで確認したいのは、次の3つです。
1. この人は何ができるのか?
技術スタックや過去の実績を見て、自分のプロジェクトに合うかどうかを判断します。ここで重要なのは、具体性です。「Web開発ができます」ではなく、「ReactとNext.jsで月間10万PVのECサイトを構築しました」と言えるかどうか。
2. 信頼できる人か?
技術記事を定期的に書いているか、GitHubで継続的にコードを書いているかを見ます。「この人は学び続けている」「問題解決力がある」という印象を与えることが大切です。
3. コミュニケーションは取りやすそうか?
文章の書き方、説明の仕方から、一緒に仕事をしやすいかどうかを判断します。ポートフォリオの文章自体が、あなたのコミュニケーション能力を示しています。
クライアントがポートフォリオを開いて最初の3秒で、続きを読むかどうかを決めます。トップページには「誰で、何ができるか」を一目で伝える簡潔な自己紹介を配置しましょう。長々とした経歴は後回しでOKです。
ポートフォリオに載せるべき5つの情報
では、具体的に何を発信すればいいのか。クライアントの信頼を得るために必要な5つの情報を見ていきましょう。
自己紹介の書き方
自己紹介は、ポートフォリオの「履歴書・経歴書」です。30秒で読める長さにまとめつつ、クライアントが知りたい情報を漏れなく伝えましょう。
書くべき項目
- 職業・職種 何ができる人なのかを明確に(例:フロントエンドエンジニア、Webデザイナー)
- 得意領域 スキルを全て書くのではなく、あなたの強みに絞る
- 保有スキル 使える言語・フレームワーク・ツールを具体的に
- 経歴の背景 なぜ今の仕事をしているのか、想いやストーリーも添えると印象的
- 実績 数字や成果で示せるものがあれば簡潔に
- 人柄が伝わる情報 趣味、出身地など。共通点が仕事につながることも
できることを全て列挙すると、逆にあなたの強みが埋もれます。クライアントは「何でもできる人」ではなく、「この分野に強い人」を探しています。得意領域を明確にして、専門性をアピールしましょう。
自己紹介の構成例
- 最初の1文で職種と得意分野 何者かを一瞬で伝える
- 経歴とスキル 具体的な技術スタックと経験年数
- 価値提供 クライアントにどんなメリットがあるか
- 人柄が伝わる一言 趣味や想いなど、あなたらしさを添える
ReactとNext.jsを得意とするフロントエンドエンジニアです。ECサイトやSaaSプロダクトの開発経験が3年以上あり、ユーザー体験を重視した設計が得意です。前職では月間10万PVのサイトでコンバージョン率を30%改善した実績があります。神奈川県在住。週末はOSSにコントリビュートしています。
2023年からプログラミングを始めました。HTMLとCSSを勉強中で、JavaScriptもこれから学びたいと思っています。ReactやNext.jsにも興味があります。まだ実務経験はありませんが、頑張ります。○○大学出身です。
「勉強中」「〜したい」といった未来形ではなく、今できることを書きましょう。クライアントは「将来性」よりも「今すぐ任せられるか」を重視します。また、スキルを羅列するだけでなく、コンパクトかつシンプルにまとめることで、読まれやすくなります。
実績の見せ方
実績は「何を作ったか」だけでなく、どんな課題を、どう解決したかを書くことが重要です。
- プロジェクト概要 何のためのプロジェクトだったか
- 担当範囲 自分が何をしたか
- 成果 数字で示せるものがあれば必ず入れる
- 使用技術 技術スタックを明記
ECサイトを作りました。Next.jsとStripeを使っています。
個人事業主向けECサイトの構築。決済機能(Stripe)の実装により、月間売上30万円を達成。Next.js + TypeScriptで構築し、Vercelでホスティング。ページ表示速度を2秒から0.8秒に改善。
案件実績がなくても、個人プロジェクトや学習中に作ったものを載せて大丈夫です。大切なのは「なぜ作ったか」「何を学んだか」を説明できること。クライアントは、あなたの思考プロセスを見ています。
技術発信との連携
ポートフォリオの力は、技術発信と組み合わせることで初めて発揮されます。
好循環
技術記事を書くメリット
技術記事を定期的に書くことで、次のような効果があります。
- 専門性の証明 その分野に詳しいことが記事から伝わる
- 検索からの流入 技術記事がきっかけで発見されることも
- 継続力のアピール 定期的に発信している = 信頼できる
- 自分の学びの整理 書くことで理解が深まる
どこで発信するか
技術発信のプラットフォームは複数ありますが、それぞれ特徴が異なります。
- Zenn エンジニア向け技術メディア。GitHubと連携しやすく、マークダウンで執筆可能
- Qiita 日本最大級のエンジニアコミュニティ。検索からの流入が期待できる
- GitHub コード自体が発信になる。継続的なコミットが信頼の証明
- 自作ブログ(Astro等) ポートフォリオと統合でき、ブログ自体が作品になる
Zennで技術記事を書き、自作サイト(Astro等)に自動反映させるのが効率的です。Zennの記事はRSSで取得できるので、GitHub Actionsで定期的にビルドすれば、ポートフォリオが自動更新されます。
ポートフォリオの作り方
ポートフォリオサイトの作り方は、大きく3つの選択肢があります。
エンジニアとしてのアピールを考えると、Astroなどのフレームワークでテンプレートをカスタマイズする方法がバランスが良いです。技術力を示しつつ、効率的に作れます。
AIツール(bolt.new、Claude、Cursor)を使えば、デザイン案の生成やコード実装も大幅にスピードアップできます。
ポートフォリオサイトそのものが、あなたの技術力を示す作品です。デザインセンス、コードの品質、レスポンシブ対応、表示速度など、すべてが評価対象になります。「このサイトを作った人なら安心して任せられる」と思わせることが目標です。
おすすめのポートフォリオテンプレート
ゼロから作るのが難しい場合は、以下のようなテンプレートを活用しましょう。
- Astro Themes Astroの公式テーマギャラリー。ブログ機能付きのテンプレートが豊富
- Next.js Portfolio Templates GitHubで公開されている高品質なポートフォリオテンプレート
- GitHub Pages + Jekyll 無料ホスティングで手軽に始められる
ポートフォリオを活かすコツ
ポートフォリオは作って終わりではありません。活かし方が重要です。
- 定期的に更新する 3ヶ月に1回は実績やスキルを見直す
- 技術記事と連動させる 新しい記事を書いたら自動反映される仕組みに
- 各所にリンクを貼る X、GitHub、エージェント登録時のプロフィール
- フィードバックをもらう 同業者や先輩に見てもらい、改善点を聞く
ポートフォリオが1年以上更新されていないと、「この人は今も活動しているのか?」と不安を与えてしまいます。新しい技術記事を書いたり、スキルを追加したりして、定期的に更新している感を出すことが大切です。GitHubの草(コミット履歴)も同様に、継続性をアピールできます。
まとめ
- ポートフォリオの目的は信頼構築 作品を見せることではなく、クライアントに信頼してもらうこと
- 載せるべき5つの情報 自己紹介、スキル、実績、技術記事、連絡先
- 技術発信との連携が鍵 Zennでの記事がポートフォリオの価値を高める
- 作り方は3パターン ノーコード、テンプレート、フルスクラッチ。おすすめはテンプレート利用
- 継続的な更新が大切 作って終わりではなく、定期的に見直す
次は、X(Twitter)などのSNS発信を活用して、ポートフォリオへの導線を作っていきます。