契約形態でお金の受け取り方が変わる
フリーランスエンジニアのお金の受け取り方は、契約形態によって大きく異なります。多くのエンジニアが利用する準委任契約と、成果物ベースの請負契約では、手続きや管理方法が全く違うのです。
まずは、それぞれの違いを理解しましょう。
エージェントが代行してくれる
口座情報をエージェントに伝える
月末締め翌月末払いなどのサイクル
タイムシートで稼働時間を報告
契約前に金額を提示する
作業完了後に自分で請求
入金確認を自分で行う
取引条件を自分で確認・保管
準委任契約でのお金の受け取り方
準委任契約でエージェント経由で働く場合、お金の受け取りはとてもシンプルです。基本的に自分で請求書を作る必要はなく、エージェントが全て代行してくれます。
「支払いサイト」とは、締め日から支払日までの期間のことです。例えば「月末締め翌月末払い」の場合、1月分の報酬は2月末に振り込まれます。
- 月末締め翌月末払い 1月分→2月末入金(約1ヶ月後)
- 月末締め翌々月15日払い 1月分→3月15日入金(約1.5ヶ月後)
- 15日締め当月末払い 1月15日分→1月末入金(約15日後)
最初の報酬が入るまで時間がかかるので、生活資金に余裕を持っておきましょう。
システム開発以外の業務を受ける場合は、源泉徴収の対象になることがあります。
- 記事執筆・講演 技術記事やセミナー登壇など(10.21%が源泉徴収)
- デザイン業務 Webデザイン、ロゴデザインなど
- 著作権関連 コンテンツの利用料や譲渡対価
これらの業務を受ける場合は、確定申告時に**支払調書(または源泉徴収額がわかる明細)**が必要になることがあるので、必ず保管しておきましょう。
請負契約での見積書・請求書の作り方
一方、請負契約で直接クライアントと取引する場合や、クラウドソーシングで案件を受ける場合は、自分で見積書と請求書を作成・管理する必要があります。
これは受託開発やWeb制作案件など、成果物ベースで報酬が支払われる契約形態で必要になります。
見積書が必要なケース
見積書は、契約前にクライアントに金額を提示するための書類です。
クラウドソーシングで案件に応募する際や、直接企業から依頼を受けた際に作成します。例えば、「コーポレートサイトを作ってほしい」という依頼に対して、「デザイン費◯万円、コーディング費◯万円、合計◯万円です」と具体的な金額を示すのが見積書の役割です。
見積書を提出し、クライアントが金額に同意したら、契約成立となります。この段階で金額が確定するため、後から「思ったより時間がかかった」と言っても、追加請求は難しくなります。だからこそ、見積もりは慎重に行う必要があるのです。
- クラウドソーシング ランサーズ・クラウドワークスでの案件応募時
- 直接契約 知人や企業から直接依頼を受けた時
- Web制作・受託開発 サイト制作やシステム開発の案件
- 金額交渉 複数の候補者から選ばれる場合
請求書に必要な項目
作業が完了したら、請求書を発行して報酬を請求します。請負契約では、この請求書がないとお金は振り込まれません。
記事執筆・デザイン業務など、特定の業務は源泉徴収の対象になります。請求書には「報酬額」「源泉徴収額(10.21%)」「差引支払額」を明記しましょう。
例:報酬50万円の場合、源泉徴収額51,050円を差し引いた448,950円が入金されます。源泉徴収された分は、確定申告で調整できます。
AIツールで見積・請求書を作成
見積書や請求書の作成は、クラウドツールやAIを使うと効率的です。
- クラウド会計ソフト freee・マネーフォワード・Misocaなら自動計算と保存が可能
- AI活用 ChatGPT・Geminiで見積・請求書のテンプレートを生成できる
- Excel・Googleスプレッドシート テンプレートをダウンロードして使える
- PDFで保存 印鑑不要、電子データで送信が一般的
契約書で確認すべきポイント
準委任契約でも請負契約でも、契約書の内容をしっかり確認することは絶対に必要です。口約束だけでは、トラブルが起きた時に自分を守れません。
契約書の専門用語がわからない場合は、AIツールを活用しましょう。
- ChatGPT・Claude・Gemini 契約書の条項を貼り付けて、わかりやすく説明してもらう
- 専門用語の確認 「甲・乙」「瑕疵担保責任」「契約不適合」などの意味を質問
- リスクの確認 「この条項で注意すべき点は?」と聞く
- 比較 他の契約書と比較して、不利な条件がないか確認
ただし、AIの回答を鵜呑みにせず、わからない部分はエージェントやクライアントに直接確認することが大切です。
まとめ
- 準委任契約+エージェント 請求書作成は不要、振込先登録だけでOK。多くのエンジニアが利用する働き方
- 請負契約 見積書・請求書を自分で作成・管理する必要がある。経験を積んでから挑戦するのがおすすめ
- 源泉徴収の理解 準委任契約のシステム開発は原則対象外。記事執筆・講演など特定業務のみ源泉徴収される。確定申告で正しく申告すれば還付される
- 契約書確認 報酬額・支払い条件・作業範囲・秘密保持義務を必ず確認する
- AIツール活用 クラウド会計ソフトやAIで、見積・請求書の作成を効率化できる
- わからないことは質問 専門用語や不明な点は、必ずエージェントやクライアントに確認する
次は「第4章:フリーランスとして働くリアル」で、実際の仕事の進め方を学びましょう。初日の迎え方からコミュニケーションの基本まで、現場で役立つ知識を身につけます。