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第3章 - セクション9

業種・チーム体制・開発スタイルを理解する

エージェント経由の準委任契約で参画する前に知っておきたい、業種・チーム規模・開発手法の基礎知識

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エージェントさんから案件を紹介してもらったんですけど、「事業会社の案件です」とか「アジャイル開発です」とか言われても、それがどういう意味なのかよくわからなくて…

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案件を選ぶ上で、参画先の業種やチーム体制、開発スタイルを理解しておくことはとても大切だよ。同じプログラミングの仕事でも、環境によって働き方や求められることが大きく変わるからね。

参画先の業種を知ろう

エージェント経由で参画する案件は準委任契約が基本です。クライアント企業の業種によって、働き方や雰囲気が大きく異なります。

4つの主な業種タイプ

準委任契約では、クライアント企業に常駐またはリモートで参画し、開発チームの一員として働きます。参画先の業種によって、プロジェクトの進め方や求められるスキルが変わってきます。

参画先の業種による違い
それぞれの特徴を理解して、自分に合った環境を選ぼう
事業会社
自社サービスを持つ企業。長期的な視点でサービスを育てていく環境。コードの品質や保守性を重視し、じっくり腰を据えて開発に取り組みたい人に向いています。
SIer系
金融・官公庁などの大規模システム開発が多い。要件定義から設計、実装まで幅広い工程に関われる機会があります。ドキュメント作成やプロジェクト管理スキルも身につきます。
Web系企業
自社でWebサービスやアプリを展開。スピード感があり、新しい技術を積極的に採用する文化。モダンな技術スタックに触れたい人におすすめです。
スタートアップ
少数精鋭で幅広い業務を担当。企画から開発、運用まで一気通貫で経験できます。変化が速く、自分のアイデアが形になりやすい環境です。
業種選びのポイント
「どんな技術に触れたいか」「どんなペースで働きたいか」を軸に考えましょう。最初は自分の興味がある分野から始めて、経験を積みながら他の業種にも挑戦するのがおすすめです。

業種ごとの働き方の違い

同じエンジニアの仕事でも、参画先によって求められることが大きく変わります。

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具体的にはどう違うんですか?

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たとえば事業会社だと、その会社のビジネスや業務フローを理解することが大事になる。一方、Web系やスタートアップだと、技術的な提案力やスピード感が求められることが多いね。

事業会社の特徴

事業会社は、自社のビジネスを支えるシステムを開発・運用しています。金融機関、メーカー、小売、物流など、業界は多岐にわたります。フリーランスとして参画する場合、その会社のビジネスを深く理解することが求められます。

  • 業務知識が身につく その業界特有のルールや用語を学べる。金融なら規制対応、小売なら在庫管理など
  • 安定した開発サイクル 長期運用を前提としたシステムが多く、保守性や品質が重視される
  • 社内調整が多い 他部署との連携や、非エンジニアへの説明スキルも求められる

SIerの特徴

SIer(システムインテグレータ)は、顧客企業から依頼されたシステムを開発する会社です。大手SIerから中小まで規模は様々で、フリーランスエンジニアの受け入れも活発に行われています。

  • 大規模プロジェクトの経験 数十人〜数百人規模のチームで開発することも。役割分担が明確
  • ドキュメント文化 設計書、仕様書、レビュー記録など、文書化が重視される
  • プロジェクト管理スキル 進捗報告や課題管理など、マネジメント寄りのスキルも評価される

Web系企業の特徴

自社でWebサービスやアプリを開発・運営する企業です。toC(一般消費者向け)、toB(企業向け)のサービスがあり、技術力を武器にしたい人に人気の業種です。

  • 技術志向が強い 新しい言語やフレームワークを積極的に採用。技術的なチャレンジがしやすい
  • リリースサイクルが早い 週次、場合によっては日次でデプロイすることも
  • エンジニアの裁量が大きい 技術選定や設計に意見を求められる機会が多い

スタートアップの特徴

少人数で急成長を目指す企業です。資金調達のフェーズによって、シード期、シリーズA、B…と呼ばれます。変化を楽しめる人や、幅広い経験を積みたい人に向いています。

  • スピード最優先 完璧より「まず動くもの」を求められる。素早い実装力が評価される
  • 一人で複数の役割 フロントもバックもインフラも、という「何でも屋」が求められることも
  • 変化が激しい 事業の方向転換(ピボット)で、作ったものがなくなることもある
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スタートアップって大変そうですね…

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大変な面もあるけど、自分の仕事がサービスの成長に直結する手応えは格別だよ。どれが良い悪いではなく、自分の性格や目標に合った環境を選ぶことが大事なんだ。

チーム体制の違いを理解しよう

参画する案件によって、チームの規模も様々です。チーム体制によって、求められるコミュニケーションの量や働き方が変わってきます。

チーム規模による働き方の違い
規模によって求められることが変わる
大規模チーム(7人以上)
社員に近い働き方を求められることも
スクラム開発などでは、チームイベントやランチ会への参加を期待されることも
責任範囲が曖昧になりやすく、インフラ作業など想定外の業務を依頼されることも
タスクが溜まりやすく、繁忙期は残業が発生する可能性がある
一方で、正社員並みの経験が積め、チームの一体感を味わえるメリットもある
中規模チーム(4〜6人)
バランスの取れた環境
コミュニケーションが取りやすく、質問もしやすい
役割分担が比較的明確で、自分の担当範囲がわかりやすい
チーム全体の動きが見えるので、開発の流れを理解しやすい
初めてのフリーランス案件におすすめの規模
小規模チーム(2〜3人)
役割が明確で集中しやすい
役割分担がはっきりしていて、作業範囲が明瞭
集中して開発に取り組みたい人に向いている
少人数のため、自分の裁量が大きく責任も重い
コミュニケーションコストが低く、週3稼働などにも適している

チーム規模は、あなたの性格や働き方の好みによって向き不向きがあります。人と関わりながら成長したいなら大規模チーム、集中して技術を磨きたいなら小規模チームが合うかもしれません。

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私、人見知りなので小規模チームの方が向いてるかもしれません。

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それも一つの選択肢だね。ただ、「人見知りだから」と決めつけず、中規模チームも経験してみるといいよ。意外と居心地が良いこともあるし、人との関わり方も学べるからね。

開発スタイルの基本を押さえよう

開発の進め方には、大きく分けて「アジャイル」と「ウォーターフォール」という2つのスタイルがあります。案件情報でよく見かける言葉なので、基本を押さえておきましょう。

アジャイル vs ウォーターフォール
どちらが優れているわけではなく、プロジェクトに応じて使い分けられる
アジャイル開発
短いサイクルで繰り返す
小さく作って試す
1〜2週間単位で動くものをリリース
変更に柔軟
途中で仕様が変わっても対応しやすい
顧客と密に連携
フィードバックを受けながら改善
チームの自律性重視
自分たちで考えて進める文化
ウォーターフォール開発
計画通りに順番に進める
最初に全体を計画
要件定義→設計→実装→テストの順
進捗が見えやすい
工程ごとに成果物が明確
品質管理がしやすい
各工程でレビュー・承認を実施
大規模案件向き
関係者が多いプロジェクトで有効
最近は「ハイブリッド型」も増えている
全体の計画はウォーターフォールで立てつつ、各機能の開発はアジャイルで進めるなど、両方の良いところを組み合わせた手法を採用する現場も多いです。

身近な例で理解する

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正直、まだイメージがわかないです…

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じゃあ、もっと身近な例で説明するね。

開発スタイルの違いを、「家づくり」と「レゴブロック」に例えてみましょう。

ウォーターフォールは「家づくり」

家を建てるとき、まず設計図を完璧に作りますよね。基礎工事が終わったら柱を立て、屋根をつけて、内装を仕上げる。途中で「やっぱり部屋を一つ増やして」と言われても、簡単には対応できません。だから最初の計画が重要です。

アジャイルは「レゴブロック」

レゴで何かを作るとき、作りながら「こっちのほうがいいかも」と変えていきますよね。完成形が最初から決まっていなくても、少しずつ組み立てながら良いものを目指せます。途中で方向転換しても、大きな問題にはなりません。

どちらを選ぶかは「プロジェクトの性質」次第

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じゃあ、どういうときにウォーターフォールで、どういうときにアジャイルなんですか?

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プロジェクトの性質によって変わるんだ。要件の明確さや、品質へのこだわりなどで判断されることが多いよ。

実際の現場では、プロジェクトの特性に応じて開発手法を選択します。どちらが優れているわけではなく、目的に合った手法を選ぶことが重要です。

  • 要件が明確な場合
    • 金融システムや基幹システムなど、最初から仕様が固まっているプロジェクトではウォーターフォールが選ばれやすいです。契約時に完成形と納期を確定する必要がある場合にも適しています。
  • 要件が不確実な場合
    • 新規サービス開発やユーザーのニーズを探りながら作る場合は、アジャイルで柔軟に対応します。市場の変化に素早く対応したいスタートアップの新規事業などでも採用されます。
  • 規制・品質要件が厳しい場合
    • 医療機器のソフトウェアや官公庁のシステムなど、厳格な品質管理が必要な分野ではウォーターフォールが適しています。各工程でのレビューや承認プロセスが重視されます。

開発スタイルと現場の雰囲気

開発スタイルによって、日々の働き方も変わってきます。

  • アジャイルの現場 毎日の朝会(デイリースタンドアップ)、1〜2週間ごとの振り返り(レトロスペクティブ)など、コミュニケーションが多い
  • ウォーターフォールの現場 工程ごとのレビュー会議、ドキュメント作成、進捗報告など、計画的な進行が求められる
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アジャイルのほうが自由そうで良さそう…

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一概には言えないよ。アジャイルは変化が多いから、柔軟に対応できる人には向いている。でも「決まったことをきっちりやりたい」タイプの人には、ウォーターフォールのほうが働きやすいこともあるんだ。

自分に合う案件を見極めるには

業種・チーム体制・開発スタイルの3つが組み合わさって、案件の雰囲気が決まります。エージェントとの面談や、企業との面談で確認しておきたいポイントをまとめました。

面談で確認すべき質問リスト

エージェント経由の面談では、遠慮せずに以下のような質問をしましょう。聞くことで「この人はちゃんと考えている」という良い印象を与えられます。

  • チーム構成と役割分担
    • 「チームは何人で構成されていますか?」「私の担当範囲はどこまでですか?」
  • 開発手法とサイクル
    • 「アジャイルですか、ウォーターフォールですか?」「スプリント(開発の区切り)の期間は何週間ですか?」
  • コミュニケーション頻度
    • 「定例ミーティングはどのくらいの頻度ですか?」「デイリースタンドアップ(毎朝の進捗共有)はありますか?」
  • チームイベントへの参加
    • 「チームイベントやランチ会への参加は期待されますか?」
  • 業務範囲の明確さ
    • 「業務範囲は明確に定義されていますか?」「契約書に記載されている業務以外を依頼されることはありますか?」
  • 稼働時間と繁忙期
    • 「通常の稼働時間は何時から何時ですか?」「繁忙期の稼働時間はどのくらいですか?」
  • 技術スタックと学習機会
    • 「使用している技術は何ですか?」「新しい技術を学ぶ機会はありますか?」
  • リモートワークの可否
    • 「フルリモートですか、ハイブリッドですか?」「出社頻度はどのくらいですか?」

これらの質問を通じて、自分が働くイメージを具体的に描けるようになります。

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こんなに質問しても大丈夫なんですか?失礼じゃないですか?

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全然失礼じゃないよ。むしろ、何も質問しない方が「この人は本当に興味があるのかな?」と思われてしまう。質問することで「しっかり考えて案件を選んでいる」という姿勢が伝わるんだ。

最初は経験重視で選ぶ

初めての案件では、完璧な条件を求めすぎないことも大切です。

  • まずは経験を積む 最初の案件は「学びの場」と割り切り、幅広い経験を積むことを優先する
  • 中規模チームから始める 4〜6人のチームなら、サポートも受けやすく全体も把握しやすい
  • アジャイルを経験してみる 現代の開発現場ではアジャイルが主流。早めに経験しておくと選択肢が広がる
  • 3ヶ月〜6ヶ月の契約 最初は短期契約で始め、合わなければ次の案件を探すこともできる

案件選びで迷ったら、エージェントに相談するのも良い方法です。あなたのスキルや性格に合った案件を提案してくれるはずです。

まとめ

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業種とかチーム体制とか、考えることがたくさんありますね。

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そうだね。でも、最初から完璧に見極めるのは難しいよ。まずは飛び込んでみて、「自分はどういう環境が合うか」を経験しながら見つけていくのが一番の近道なんだ。

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失敗したらどうしよう…

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準委任契約は基本的に3ヶ月更新だから、もし合わなければ更新しないという選択もできる。最初の案件で全てが決まるわけじゃないから、気楽に考えていいよ。経験を積みながら、自分に合う働き方を見つけていこう。

業種・チーム・開発スタイルの選び方
  • 業種は自分の興味で選ぶ 事業会社・SIer・Web系・スタートアップ、それぞれに魅力がある。自分が作りたいものや学びたい技術で選ぼう
  • チーム規模で働き方が変わる 大規模(7人以上)は社員に近い働き方、中規模(4〜6人)はバランス型、小規模(2〜3人)は役割が明確で集中しやすい
  • 開発スタイルを理解する アジャイルは変化に強く、ウォーターフォールは計画的。どちらも長所と短所がある
  • 面談で遠慮なく質問する チーム構成、開発手法、稼働時間、業務範囲などを確認し、自分が働くイメージを具体化しよう
  • 最初は経験重視 完璧な条件を求めすぎず、まずは飛び込んで経験を積むことが大切

次のレッスンでは、案件選びで確認すべきポイントをさらに詳しく見ていきます。

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