ITエンジニアの主な種類
ITエンジニアの仕事は大きく分けて4つのカテゴリがあります。それぞれに複数の職種が含まれ、役割や求められるスキルも異なります。
このコースでは、フリーランスとして働きやすく、需要も高い「開発系エンジニア」を中心に学習を進めていきます。
ソフトウェアを作る
• バックエンドエンジニア
• アプリケーションエンジニア
• 組み込みエンジニア
• AIエンジニア
• プログラマー
基盤を整備・管理
• ネットワークエンジニア
• データベースエンジニア
• クラウドエンジニア
• セキュリティエンジニア
プロジェクト全体を統括
• プロジェクトマネージャー
• ITコンサルタント
• ブリッジエンジニア
専門エンジニア
• QAエンジニア (品質保証)
• セールスエンジニア
• サポートエンジニア
• 社内SE・院内SE
開発系エンジニア:ソフトウェアを作る仕事
開発系エンジニアは、ユーザーが使うソフトウェアを作ることが主な仕事です。Webサイトやアプリケーションを開発し、ユーザー体験を向上させる役割を担います。
フロントエンドエンジニア
Webサイトやアプリの「見た目」と「操作性」を作る職種です。ユーザーが直接触れる部分を担当します。
- デザインの実装 デザイナーが作った見た目を、HTML/CSSで再現する
- 動きの追加 JavaScriptで、ボタンのクリックやアニメーションを実装
- レスポンシブ対応 スマホ、タブレット、PCなど、どの画面サイズでも見やすく表示
- パフォーマンス改善 ページの読み込み速度を速くする工夫
- 使いやすさの追求 誰もが直感的に使えるインターフェースを設計
主な技術: HTML、CSS、JavaScript、React、Vue.js、TypeScript
バックエンドエンジニア
ユーザーからは見えない「裏側」の仕組みを作る職種です。データの保存、処理、セキュリティなど、システムの核を担当します。
- データベース設計 情報を効率的に保存・取り出す仕組みを作る
- API開発 フロントエンドとデータをやり取りする窓口を作る
- ビジネスロジック実装 計算処理や条件判定など、システムの中心的な処理を書く
- セキュリティ対策 個人情報を守り、不正アクセスを防ぐ
- パフォーマンス最適化 大量のデータを高速に処理できるようにする
主な技術: Python、Java、PHP、Node.js、Ruby、Go
AIエンジニア
機械学習やディープラーニングを使って、AI機能を開発・実装する職種です。画像認識、自然言語処理、予測モデルなどを作ります。
- 機械学習モデル開発 データからパターンを学習するAIを作る
- モデルの最適化 精度を高め、実用的な速度で動くよう調整
- AIシステムの実装 開発したAIを実際のサービスに組み込む
- データ前処理 AIが学習しやすい形にデータを整える
主な技術: Python、TensorFlow、PyTorch、scikit-learn
インフラ系エンジニア:システムの基盤を支える仕事
インフラ系エンジニアは、アプリやWebサイトが「安定して動き続ける環境」を作り、管理する仕事です。ユーザーからは見えませんが、非常に重要な役割を担っています。
サーバーエンジニア
Webサイトやアプリが動くサーバー(コンピュータ)を構築・管理する職種です。
- サーバー構築 アプリケーションが動く環境を準備・設定
- OS設定 Linux等のOSをインストールし、最適な設定を行う
- ミドルウェア管理 WebサーバーやDBサーバーの設定・運用
- 監視・保守 サーバーが正常に動作しているか24時間監視
主な技術: Linux、Apache、Nginx、Docker
ネットワークエンジニア
データが安全に、速く通信できる「道筋」を設計・構築する職種です。
- ネットワーク設計 効率的で安全な通信経路を計画
- 機器の設定 ルーター、スイッチなどの機器を設定
- トラブル対応 通信障害が起きたときに原因を特定し、解決
- セキュリティ対策 外部からの不正アクセスを防ぐ
主な技術: TCP/IP、ルーティング、ファイアウォール
クラウドエンジニア
AWS、Azure、GCPなどのクラウドサービスを使って、システムのインフラを構築・運用する職種です。
- クラウド環境構築 クラウド上にサーバーやネットワークを構築
- コスト最適化 無駄なリソースを削減し、費用を抑える
- 自動化 インフラの構築や運用を自動化して効率化
- スケーリング アクセス増加に合わせてサーバーを増強
主な技術: AWS、Azure、GCP、Terraform、Kubernetes
プロジェクト管理系:開発を統括する仕事
プロジェクト管理系のエンジニアは、技術的な知識を活かして、プロジェクト全体の進行やチーム運営を行います。コーディングだけでなく、マネジメントスキルも求められる職種です。
システムエンジニア(SE)
クライアントの要望をヒアリングし、システム全体を設計する職種です。プログラマーへの指示出しも行います。
- 要件定義 クライアントが何を求めているか整理し、実現方法を提案
- システム設計 全体の構成や機能を設計書にまとめる
- プログラマー管理 開発チームに作業を割り振り、進捗を管理
- テスト計画 システムが正しく動くか検証する計画を立てる
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクト全体の責任者として、予算、スケジュール、品質を管理する職種です。
- プロジェクト計画 期間、予算、人員配置などを決定
- リスク管理 問題が起きる前に対策を考え、起きたら迅速に対応
- クライアント対応 進捗報告や仕様変更の調整を行う
- チームマネジメント メンバーのモチベーション管理や育成
その他専門分野:特定領域のスペシャリスト
ここでは、特定の領域に特化した専門性の高いエンジニアを紹介します。
データサイエンティスト
大量のデータを分析し、ビジネスの意思決定に役立つ洞察を提供する職種です。統計学や機械学習の知識を活用します。
- データ分析 売上データや顧客データから傾向を見つける
- 予測モデル構築 未来の売上や需要を予測するモデルを作る
- レポート作成 分析結果を分かりやすくまとめて経営層に報告
- データ可視化 グラフやダッシュボードで直感的に理解できる形にする
セキュリティエンジニア
システムやネットワークのセキュリティを専門に扱う職種です。サイバー攻撃から守る対策を実施します。
- 脆弱性診断 システムの弱点を見つけ出す
- セキュリティ設計 攻撃を防ぐ仕組みを設計・実装
- インシデント対応 セキュリティ事故が起きたときに原因調査と対応
- セキュリティ教育 社員に安全な情報の扱い方を教育
QAエンジニア(品質保証)
ソフトウェアの品質を担保する職種です。バグを見つけ、ユーザーに届く前に修正させます。
- テスト設計 どんなテストを行うか計画を立てる
- テスト実行 実際に操作して、バグや不具合を見つける
- 自動テスト テストを自動化して効率化
- 品質報告 品質状況をチームに報告し、改善を促す
AI時代の開発系エンジニアの仕事
AIツールの登場によって、エンジニアの働き方は大きく変わりつつあります。AIは「仕事を奪う」のではなく、「エンジニアの能力を拡張する」パートナーになっています。
AIツールの具体例
- Claude Code AI開発支援ツール。コード生成やエージェント機能を提供
- GitHub Copilot コードを書く途中で、次に書くべきコードを提案してくれる
- ChatGPT / Claude プログラミングの質問に答えたり、コードの説明をしてくれる
- Cursor AIが統合されたコードエディター。コード全体を理解して提案
- V0 / Vercel デザインの指示だけで、実際のコードを生成してくれる
エンジニアに求められる本質的なスキル
AIが発達しても、エンジニアに求められる本質的なスキルは変わりません。むしろ、これらのスキルがより重要になっています。
技術的スキル
- 基礎的なプログラミング知識 変数、関数、条件分岐、ループなどの基本概念
- 問題解決能力 バグや課題を論理的に分析し、解決策を見つける力
- システム設計力 全体像を把握し、効率的な構造を考える力
- 新しい技術の学習力 常に進化する技術をキャッチアップする姿勢
コミュニケーションスキル
- 要件を理解する力 クライアントが本当に求めているものを引き出す
- 説明する力 技術的な内容を、非エンジニアにも分かりやすく伝える
- チームワーク 他のエンジニアやデザイナーと協力して開発を進める
- 質問する力 分からないことを適切に質問し、情報を得る
まとめ
- 4つのカテゴリ 開発系、インフラ系、プロジェクト管理系、その他専門分野に分かれる
- 開発系が人気 フロントエンド・バックエンドエンジニアは需要が高く、フリーランスでも働きやすい
- インフラも重要 サーバー、ネットワーク、クラウドなど、システムの土台を支える専門家
- AIは成長分野 AIエンジニアやデータサイエンティストは今後も需要が拡大
- AIツールで効率化 GitHub Copilot等のAIツールを使いこなすことで、作業効率が大幅に向上
- コミュニケーション力も必須 技術力だけでなく、クライアントやチームと協力する力も重要
次のレッスンでは、フリーランスITエンジニアの契約形態について学びます。お楽しみに!