フリーランスエンジニアの4つの働き方
フリーランスエンジニアには、主に以下の4つの働き方があります。それぞれに特徴があり、自分のライフスタイルやキャリアに合わせて選択できます。
会社員に近いスタイル
• 質問しやすい環境
• 準委任契約が中心
• 安定した収入
場所の自由度が高い
• 準委任・請負どちらも
• 自己管理が重要
• 場所を選ばない
起業家スタイル
• 収益化まで時間
• 完全な裁量
• リスクとリターン大
柔軟な働き方
• メリットの組み合わせ
• 複数収入源
• 柔軟性が高い
1. 常駐型:クライアント先で働くスタイル
常駐型は、クライアントのオフィスに通って働くスタイルです。会社員に最も近い働き方で、フリーランス初心者にも始めやすい形態です。
エージェントを通じて案件を探すことが多く、契約期間は数ヶ月〜約1年程度に設定されることが多いです(案件により差があります)。プロジェクトチームの一員として働くため、社員と同じようにオフィスに出勤し、定時に帰宅するという規則正しい生活が送れます。
常駐型の特徴
常駐型には以下のような特徴があります。
- 準委任契約が中心 時間単位で働き、月額固定報酬を得ることが多い
- チームの一員として プロジェクトチームに参加し、社員と同じように働く
- 質問しやすい環境 わからないことがあればすぐに聞ける
- 規則正しい生活 決まった時間にオフィスに行くため、生活リズムが整いやすい
- 人脈構築 同じオフィスで働くことで、人間関係を築きやすい
常駐型の最大のメリットは、収入の安定性とチーム環境での学習機会です。月額固定報酬のため生活設計が立てやすく、先輩エンジニアから直接学べる環境は、スキルアップに最適です。
- 安定した収入 月額固定報酬のため、収入が予測しやすい
- 学習機会が多い 先輩エンジニアから直接学べる
- コミュニケーションが円滑 対面でのやり取りでミスコミュニケーションが少ない
- 孤独感が少ない チームの一員として働くため、一人じゃない安心感
一方で、通勤時間や場所の制約といった会社員と同じ制約があります。特に都市部では往復2時間の通勤も珍しくなく、この時間を有効活用できないと感じる人もいます。
- 通勤時間 毎日通う必要があり、時間とコストがかかる
- 場所の制約 住んでいる場所から通える範囲に限定される
- 勤務時間の制約 オフィスの営業時間に合わせる必要がある
- 服装のルール 場合によってはスーツやビジネスカジュアルが必要
2. リモート型:場所を選ばない自由な働き方
リモート型は、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、好きな場所で働くスタイルです。近年最も増えている働き方です。
コロナ禍をきっかけにリモートワークが一般化し、今では多くの案件でリモート勤務が可能になっています。通勤時間がゼロになることで、地方でも仕事ができるようになり、学習や趣味、家族との時間に充てられるのが大きな魅力です。
リモート型の契約形態
リモート型には、準委任契約と請負契約の2つの契約形態があります。
準委任契約のリモート
準委任契約のリモートは、常駐型と同じく時間ベースで働きますが、オフィスに行く必要がない形態です。毎日の朝会や定期的なミーティングはオンラインで行い、Slackなどのチャットツールでチームと連携します。
- 時間ベースの契約 月〇〇時間働く、という形で契約
- 定期的なミーティング オンラインで朝会や進捗報告を行う
- チームの一員 リモートでもチームに所属し、連携して働く
- 月額固定報酬 時間に応じた安定した収入
請負契約のリモート
請負契約のリモートは、「Webサイトを作る」「機能を実装する」といった成果物を納品することで報酬を得る形態です。いつ、どこで作業するかは完全に自由で、納期さえ守れば問題ありません。
- 成果物ベースの契約 「〇〇の機能を作る」という明確な成果物を約束
- 納期重視 いつ作業するかは自由だが、納期は厳守
- 完全な裁量 作業プロセスは全て自分で決められる
- 単発の報酬 プロジェクトごとに報酬を受け取る
リモートワークの最大のメリットは、時間と場所の自由です。通勤時間がなくなるだけでなく、集中できる環境を自分で選べるため、生産性が上がる人も多くいます。
- 通勤時間ゼロ その時間を自己学習や趣味に使える
- 場所の自由 カフェ、旅行先、実家など、どこでも働ける
- 自分のペース 集中できる時間帯に作業できる
- 服装自由 パジャマでも誰も気にしない
- コスト削減 交通費や外食費が浮く
自由な反面、自己管理が非常に重要になります。誰も監視していないため、ついついサボってしまったり、逆に仕事とプライベートの境界が曖昧になって働きすぎてしまうリスクもあります。
- 自己管理が必須 誰も管理してくれないため、自分で律する必要がある
- 孤独を感じやすい 一人で作業するため、孤立感を感じることも
- ON/OFFの切り替えが難しい 仕事とプライベートの境界が曖昧になりがち
- コミュニケーションに工夫が必要 テキストや通話での意思疎通スキルが求められる
リモートワークで最も重要なのは自己管理力です。特に在宅勤務では、YouTube、SNS、ゲームなど、誘惑が多くあります。
集中力を保つために、以下のような対策が有効です:
- 作業環境を整える 専用の作業スペースを作り、仕事モードに切り替える
- 時間を区切る ポモドーロ・テクニック(25分作業→5分休憩)を活用
- 誘惑を遮断 作業中はスマホを別室に置く、集中モードアプリを使う
- 定期的な休憩 長時間作業は逆効果。適度に休んでリフレッシュ
3. 個人開発型:自分のサービスを作るスタイル
個人開発型は、自分でWebサービスやアプリを開発し、それを収益化する働き方です。起業家に近いスタイルです。
クライアントワークとは異なり、自分のアイデアを形にして世に出すことができます。ただし、収益化までには時間がかかるため、多くの人は他の仕事と並行しながら進めています。
個人開発型の特徴
個人開発型には以下のような特徴があります。
- 自分のアイデアを実現 やりたいことを自由に作れる
- 収益化の方法は様々 広告収入、サブスクリプション、販売など
- 初期収入はゼロ 最初は収入がなく、別の仕事と並行することが多い
- 完全な裁量 全ての決定を自分で行う
- スキルが幅広く身につく 企画、開発、マーケティング、営業まで全て経験
収益化の例
個人開発したサービスから収入を得る方法は多様です。月額課金モデルのSaaSから、広告収入、アプリ販売まで、自分のサービスに合った収益モデルを選べます。
- SaaS(Software as a Service) 月額課金のWebサービスを提供(例:タスク管理ツール)
- 広告収入 無料サービスを提供し、広告で収益化
- 有料アプリ販売 App StoreやGoogle Playでアプリを販売
- アフィリエイト 商品やサービスを紹介して紹介料を得る
- オンライン教材 自分の知識をまとめて販売
個人開発の魅力は、何といっても完全な自由と、成功した時のリターンの大きさです。自分のアイデアを形にし、それがユーザーに使われる喜びは、他の働き方では得られない体験です。
- 完全な自由 作るもの、働く時間、全て自分で決められる
- 大きな可能性 ヒットすれば大きな収入につながる
- 自分のブランド 自分の作品として世に出せる
- 学びが深い ビジネスの全体を理解できる
一方で、収益化までの道のりは険しく、多くのサービスは軌道に乗る前に終わってしまいます。開発だけでなく、マーケティングや営業のスキルも必要になるため、ハードルは高いと言えます。
- 収入が不安定 軌道に乗るまで収入がない
- リスクが高い 時間をかけても成功する保証はない
- 孤独な戦い 全て自分一人でやる必要がある
- マーケティング必須 作るだけでなく、売る・広める力も必要
4. ハイブリッド型:複数のスタイルを組み合わせる
ハイブリッド型は、複数の働き方を組み合わせる柔軟なスタイルです。現代のフリーランスで最も人気が高まっている働き方です。
「安定収入も欲しいけど、自分の時間も大切」「複数のスキルを活かしたい」といったニーズに応えられるのがハイブリッド型です。例えば、週3日は常駐案件で安定収入を得ながら、残りの2日は個人開発に充てるといった働き方が可能です。
ハイブリッド型の例
- 週3常駐+週2在宅 安定収入を得つつ、リモートのメリットも享受
- 複数案件の掛け持ち スキルを活かして複数のプロジェクトに参加
- 平日常駐+週末個人開発 本業で収入を得ながら、自分のサービスを育てる
ハイブリッド型の最大のメリットは、リスク分散と柔軟性の高さです。1つの収入源に依存しないため、案件が終了しても焦る必要がありません。また、それぞれの働き方の良い部分を組み合わせることができます。
- リスク分散 複数の収入源を持つことで、1つが途切れても安心
- それぞれのメリット 常駐の安定性とリモートの自由を両立
- スキルの多様化 異なる案件で幅広い経験を積める
- 柔軟性 ライフスタイルに合わせて働き方を調整できる
複数の仕事を並行するため、スケジュール管理が複雑になります。また、気づかないうちに仕事を詰め込みすぎて、休む時間がなくなってしまうリスクもあります。
- スケジュール管理が複雑 複数の案件を並行するため、時間管理が難しい
- 切り替えが必要 案件ごとに頭を切り替える必要がある
- 働きすぎのリスク 気づくと休みがなくなる可能性
自分に合った働き方を選ぶポイント
どの働き方が良いかは、自分の性格、ライフスタイル、キャリア目標によって異なります。以下のポイントを参考に選びましょう。
働き方を選ぶ際は、「今の自分」だけでなく、「なりたい自分」も考慮することが大切です。現在のスキルレベル、生活状況、将来のキャリアビジョンを総合的に判断して選択しましょう。
性格・ライフスタイルで選ぶ
- 自己管理が得意 リモート型や個人開発型が向いている
- チームで働くのが好き 常駐型が向いている
- 安定収入が欲しい 常駐型やリモート準委任が向いている
- 自由な時間が欲しい リモート請負やハイブリッド型が向いている
- 起業志向がある 個人開発型やハイブリッド型が向いている
キャリアステージで選ぶ
フリーランスとしてのキャリアステージによって、最適な働き方は変わってきます。最初から理想の形を目指すのではなく、段階的にステップアップしていく方が成功確率は高くなります。
- フリーランス1年目 常駐型で実務経験を積み、人脈を作る
- 2〜3年目 リモート案件にチャレンジし、自己管理力を磨く
- 3年目以降 ハイブリッド型で複数収入源を確立
- 5年目以降 個人開発や高単価リモート案件で自由度を高める
最初に選んだ働き方が一生続くわけではありません。フリーランスの魅力は、自分の成長やライフステージに合わせて働き方を変えられることです。
例えば:
- 最初は常駐で経験を積む
- 慣れてきたらリモートに移行
- スキルが上がったら高単価案件に挑戦
- 余裕ができたら個人開発も並行
このように、段階的にステップアップしていくことができます。
まとめ
- 4つのスタイル 常駐型、リモート型、個人開発型、ハイブリッド型がある
- 常駐型 クライアント先で働く。安定性が高く、チームで働ける
- リモート型 自宅や好きな場所で働く。準委任と請負の両方がある
- 個人開発型 自分のサービスを作る。自由度が高いがリスクもある
- ハイブリッド型 複数のスタイルを組み合わせる。柔軟性が高い
- 自分に合った選択 性格、ライフスタイル、キャリアステージで選ぶ
- 変更可能 成長に合わせて働き方を変えられるのがフリーランスの魅力
次のレッスンでは、準委任契約・請負契約・自営の違いと、それぞれの契約形態の特徴を学びます。