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第3章 - セクション10

案件選びで確認すべきポイント

契約形態・単価・稼働時間・リモート可否・技術スタックの見方

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エージェントから案件を紹介されたんですけど、情報がたくさんあってどこを見ればいいかわからなくて…

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案件票、最初は情報量が多くて戸惑うよね。でも見るべきポイントは決まっているから、一度覚えてしまえば大丈夫。今日は案件選びで確認すべきポイントを整理していこう。

案件選びで確認すべき5つの視点

エージェントから紹介される案件票には、さまざまな情報が記載されています。すべてを一度に理解しようとすると混乱してしまうので、まずは5つの視点で整理してみましょう。

案件選びの5つのチェックポイント
この5つを押さえれば、案件の全体像が見える
単価・報酬条件
月額単価、精算幅、税込み/税抜き、交通費・経費の扱い、支払いサイトなど、お金に関する条件を確認する
稼働時間・精算幅
月の稼働時間、精算幅(140h〜180hなど)、超過・不足時の計算方法を把握する
勤務形態・場所
フルリモート、ハイブリッド、常駐など。出社頻度や勤務地も確認する
技術スタック・成長
使用する言語、フレームワーク、ツール。必須スキルとのマッチ度と、参画後に何を学べるかを確認する
契約条件
契約期間、更新の可能性、契約解除条件など。長く働ける案件かを見極める

これらの視点を一つずつ詳しく見ていきましょう。単価だけで判断して「思っていたのと違った」とならないよう、総合的に確認することが大切です。

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案件票って、具体的にどんな情報が書いてあるんですか?

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単価、稼働時間、勤務形態、必要スキル、業務内容…いろいろあるけど、特に大事なのは単価と精算幅の関係かな。ここを理解していないと、想定より報酬が低くなることもあるんだ。

単価・報酬条件

単価と報酬条件の読み方

単価は案件選びで最も気になるポイントですが、表面的な金額だけでなく、いくつかの条件を確認する必要があります。

単価の表記に隠れた情報

案件票に「月額60万円」と書いてあっても、実際に受け取れる金額は条件によって変わります。以下の4つのポイントを必ず確認しましょう。

  • 税込み / 税抜きの確認 表記が税込みか税抜きかで、実際の受取額が約10%変わる。確認を忘れずに
  • 交通費・経費の扱い 交通費が別途支給されるか、単価に含まれているか。常駐案件では特に重要
  • 支払いサイト 「月末締め翌月末払い」が一般的。資金繰りに影響するので確認しておく
  • エージェントのマージン エージェント経由の場合、表示単価からマージンが引かれた額が手取りになる

特に税込み/税抜きの確認は見落としがちです。60万円(税抜き)と60万円(税込み)では、年間で約70万円もの差が生まれます。

稼働時間・精算幅

精算幅とは何か

準委任契約で最も重要な概念が精算幅です。これは「基準となる稼働時間の範囲」を示すもので、案件票には「140h〜180h」のように記載されています。

例えば「月額60万円(精算幅140h〜180h)」という案件の場合、以下のような意味になります。

  • 140時間〜180時間の間 この範囲内で稼働すれば、60万円がそのまま支払われる
  • 180時間を超えた場合 超過分が追加で支払われる(超過単価で計算)
  • 140時間を下回った場合 不足分が差し引かれる(控除単価で計算)
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超過や不足の計算って、どうやるんですか?

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ここが実は一番重要なんだ。計算方法には「上下割」と「中間割」の2種類があって、どちらが適用されるかで手取りが変わってくる。詳しく見てみよう。

精算幅の計算方式

精算幅の超過・不足を計算する方法には、大きく分けて2つの方式があります。

精算幅の計算方式
中間割の方がフリーランスに有利なケースが多い
上下割
上限・下限で単価が異なる
超過単価
上限(180h)で割って計算
控除単価
下限(140h)で割って計算
超過単価が低い
60万÷180h=約3,333円/h
控除単価が高い
60万÷140h=約4,286円/h
中間割
中間値で統一して計算
超過単価
中間値(160h)で割って計算
控除単価
中間値(160h)で割って計算
超過・控除が同額
60万÷160h=3,750円/h
フリーランスに有利
超過時の単価が高くなる
契約前に必ず確認しよう
精算方式は案件票に明記されていないことも多いです。エージェントに「精算は上下割ですか?中間割ですか?」と確認しましょう。

具体的な計算例を見てみましょう。月額60万円(精算幅140h〜180h)の案件で、185時間稼働した場合を比較します。

上下割の場合

  • 超過時間:185h - 180h = 5h
  • 超過単価:60万円 ÷ 180h = 約3,333円/h
  • 追加報酬:3,333円 × 5h = 約16,665円

合計:約616,665円

中間割の場合

  • 超過時間:185h - 180h = 5h
  • 超過単価:60万円 ÷ 160h = 3,750円/h
  • 追加報酬:3,750円 × 5h = 18,750円

合計:618,750円

わずかな差に見えますが、毎月の積み重ねで年間数万円の違いになります。

ここまでが精算幅の確認です。次に、案件票に書かれる稼働時間の見方を確認しましょう。

稼働時間の見方

案件票には稼働時間についてさまざまな表記があります。それぞれの意味を理解しておきましょう。

  • 週5日フルタイム 月160時間前後の稼働。最も一般的なパターン
  • 週3〜4日稼働 月100〜130時間程度。副業やパラレルワーク向け
  • フレックス 出退勤時間が自由。ただしコアタイム(必須の時間帯)がある場合も
  • 裁量労働 稼働時間より成果で評価される働き方

自分のライフスタイルや他の案件との兼ね合いを考えて、無理のない稼働時間を選びましょう。

勤務形態・場所

どのような勤務形態かも重要なポイントです。主に以下の3つのパターンがあります。

  • フルリモート
    • 完全に自宅や好きな場所で働ける。通勤時間がゼロになるメリットが大きい
  • ハイブリッド
    • 週数回の出社が必要。チームとのコミュニケーションが取りやすい
  • 常駐
    • クライアント先に常駐して働く。環境が整っていることが多いが、通勤時間が発生する

リモート可否の確認ポイント

リモートワークの可否は、働きやすさに大きく影響します。

  • 「フルリモート」の落とし穴
    • 「フルリモート可」でも、最初の1〜2週間は出社が必要なケースがある
  • 「リモート可」の曖昧さ
    • 週1〜2日の出社が求められることも。出社頻度を具体的に確認する
  • ハイブリッドの実態
    • 「週2出社」と書いてあっても、チーム状況で変わることがある
  • 勤務地の確認
    • 常駐の場合、通勤時間が負担にならないか考慮する
常駐案件の勤務地確認

勤務場所の確認も忘れずに行いましょう。特に常駐案件では、勤務地が自宅から遠いと通勤時間が大きな負担になります。

技術スタック・成長

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技術スタックって、どこまでマッチしていればいいんですか?

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案件票には「必須スキル」と「歓迎スキル」が書いてあることが多い。必須スキルは最低限必要なもの、歓迎スキルはあれば有利になるもの。必須を満たしていれば、歓迎スキルは入ってから学んでもOKなケースが多いよ。

必須スキルと歓迎スキル

案件票のスキル欄には、通常「必須(MUST)」と「歓迎(WANT)」が分かれて記載されています。

  • 必須スキル(MUST) これがないと応募しても通らない。自分のスキルと照らし合わせて判断する
  • 歓迎スキル(WANT) あれば選考で有利になる。なくても応募は可能
  • 経験年数の目安 「3年以上」などの記載があっても、実力があれば相談可能なケースも多い

自分のスキルが必須条件を80%以上満たしていれば、挑戦してみる価値はあります。残りの20%は入ってから学ぶ姿勢を見せることで、カバーできることも少なくありません。

キャリアアップにつながるか

単価や条件だけでなく、その案件で何を学べるかも重要な視点です。

  • 新しい技術を学べるか
    • 自分のスキルセットに新しい武器を追加できる案件は価値が高い
  • 上流工程に関われるか
    • 設計や要件定義に関わる経験は、単価アップにつながる
  • チーム開発の経験
    • 一人で作業するより、チームで開発した経験の方が市場価値が高い
  • 同じ作業の繰り返しではないか
    • ルーティンワークばかりだと、スキルが停滞するリスクがある

契約条件

単価や稼働時間に目が行きがちですが、契約に関する項目も重要です。ここを確認せずに契約してしまうと、後からトラブルになることがあります。

契約形態を確認する

エージェント経由の案件は、ほぼすべてが準委任契約です。案件票に「業務委託」と書かれていても、基本的には準委任契約と考えて問題ありません。

準委任契約は「時間に対して報酬が発生する」契約形態です。月額固定で報酬を受け取り、決められた時間を稼働するという働き方になります。第1章で学んだ内容を思い出しながら、案件票を確認していきましょう。

契約期間と更新

フリーランスにとって、案件の継続性は収入の安定に直結します。以下の点を確認しておきましょう。

  • 契約期間 3ヶ月、6ヶ月、1年など。短期すぎると次の案件探しが大変
  • 更新の可能性 「長期想定」と書いてあれば、継続して働ける可能性が高い
  • 更新のタイミング 契約終了の1ヶ月前には更新可否がわかるのが一般的

契約解除と中途解約

自分から辞める場合も、クライアント都合で終了する場合も、事前にルールを把握しておくことが大切です。

  • 契約解除条件 どのような場合に契約が打ち切られるかを確認
  • 中途解約時の扱い 自分から辞める場合の事前告知期間(通常1ヶ月前)
  • 違約金の有無 中途解約時にペナルティがあるかどうか

その他のリスク項目

契約書には細かい条項がたくさんありますが、特に以下の3点は目を通しておきましょう。

  • 秘密保持義務(NDA) 業務で知り得た情報の取り扱いについて
  • 競業避止義務 退職後に同業他社で働くことへの制限があるか
  • 損害賠償の範囲 万が一のトラブル時の責任範囲

これらの項目は契約書に記載されていることが多いです。不明点があれば、エージェントに確認しましょう。

案件票を読むときのチェックステップ

最後に、復習の意味でもう一度確認しましょう。

案件票を見るときは、次の5ステップでチェックすると見落としが減ります。

案件票チェックの5ステップ
STEP
01
単価と精算幅を確認
月額単価、税込み/税抜き、交通費・経費、支払いサイト、精算方式(上下割/中間割)を確認。想定手取りを計算する
STEP
02
稼働時間・精算幅を確認
月の稼働時間、精算幅の範囲、フレックス有無などを確認。無理のない稼働になりそうか判断する
STEP
03
勤務形態・場所を確認
フルリモート/ハイブリッド/常駐、出社頻度、勤務地を確認。通勤負担や生活リズムに合うか判断する
STEP
04
技術スタック・成長を確認
必須スキルと自分のスキルを比較。80%以上マッチしていれば挑戦の価値あり。参画後に何を学べるかも確認する
STEP
05
契約条件を確認
契約期間、更新可能性、解除条件、秘密保持・競業避止・損害賠償の範囲など。長く安定して働けるかを見極める
迷ったらエージェントに相談
案件票だけではわからないことも多いです。気になる点はエージェントに質問しましょう。実際の現場の雰囲気や、過去に参画したエンジニアの評判なども教えてもらえることがあります。

まとめ

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案件票って、単価だけ見ればいいと思ってました。精算幅とか、こんなに確認することがあるんですね。

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上下割と中間割の違い、知らなかったです。これ知らないで契約したら損してたかも…

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案件選びは「条件を見極める目」が大切なんだ。最初は難しく感じるかもしれないけど、何度か案件を見ているうちに慣れてくる。わからないことはエージェントにどんどん質問していこう。

案件選びのチェックポイント
  • 単価は表面だけで判断しない 税込み/税抜き、精算幅、精算方式まで確認して手取りを計算する
  • 精算幅の計算方式を確認 中間割の方がフリーランスに有利。契約前にエージェントに確認する
  • 稼働時間とリモート可否 自分のライフスタイルに合った働き方ができるか確認
  • 技術スタックは80%マッチでOK 必須スキルを満たしていれば、残りは入ってから学ぶ姿勢を見せる。成長できる内容かも合わせて確認
  • 契約条件も忘れずに 契約期間、更新可能性、解除条件など、長期的な視点で確認

次は、最初の仕事を「経験を積む」つもりで取り組む心構えについて見ていきましょう。

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