エージェントの仕組みを理解しよう
フリーランスエージェントとは、企業とフリーランスエンジニアをマッチングする人材紹介サービスです。エージェントに登録すると、専任の担当者(コーディネーター)がつき、あなたのスキルや希望条件に合った案件を紹介してくれます。
クラウドソーシングとエージェントの違い
前回学んだクラウドソーシングとエージェントは、どちらも仕事を探す手段ですが、その特徴は大きく異なります。
クラウドソーシングは「自分で案件を探す自由度」が高い一方、エージェントは「プロのサポートを受けられる安心感」があります。実務経験が1〜2年以上ある方は、エージェント経由での案件探しも視野に入れてみましょう。
エージェント利用の流れ
エージェントを使った案件探しは、以下のような流れで進みます。
エージェントを使うメリット
エージェントを活用することで、フリーランスとしての活動がより効率的になります。
特に「非公開案件」は大きなメリットです。企業が公開募集をしていない案件は、エージェント経由でしか出会えません。有名企業や高単価案件ほど、非公開で募集されることが多い傾向があります。
エージェントを使うときの注意点
メリットが多いエージェントですが、利用する際には知っておくべきポイントもあります。
マージン(手数料)について
エージェントは、企業から受け取る報酬の一部を手数料(マージン)として受け取っています。マージン率は10%〜25%程度が一般的ですが、多くのエージェントはこの率を公開していません。
エージェントのマージンは、基本的に企業側が負担する形になっています。つまり、フリーランスに提示される単価からさらに引かれるわけではありません。ただし、同じ案件でもエージェントによって提示単価が異なることはあります。
複数登録のすすめ
エージェントによって保有する案件が異なるため、複数のエージェントに登録することをおすすめします。
- 案件の選択肢が増える
- 各エージェントが持つ非公開案件にアクセスでき、選択肢が広がります
- 相場感がつかめる
- 複数のエージェントから提案を受けることで、自分の市場価値を客観的に把握できます
- 担当者との相性を比較できる
- 担当者のサポート力やコミュニケーションスタイルは様々。自分に合う担当者を見つけやすくなります
経験年数の目安
多くのエージェントは、実務経験1〜3年以上を登録条件としています。これは、エージェントが紹介する案件が即戦力を求めるものが多いためです。
- 経験1年未満 スクールに通うか、クラウドソーシングで実績を積んでからエージェント登録を検討
- 経験1〜2年 若手歓迎のエージェントや、スキルアップ支援が充実したサービスを検討
- 経験3年以上 多くのエージェントで登録可能。複数登録で選択肢を広げよう
主要なエージェントを知ろう
ここからは、フリーランスエンジニアに人気の主要エージェントを7社紹介します。それぞれに強みがあるので、自分の状況や希望に合ったサービスを見つけてください。
初めての方は「レバテックフリーランス」(案件数が多い)と「ギークスジョブ」(福利厚生が充実)の2社に登録するのがおすすめです。そこから自分に合うサービスを見つけていきましょう。
レバテックフリーランス
業界最大手のフリーランスエージェントです。案件数の豊富さと、参画後のサポート体制に定評があります。
- 業界最大級の案件数
- 取引社数10,000社以上。Java、PHP、Ruby、Pythonなど幅広い言語の案件を保有
- 高い単価水準
- 平均年収881万円(2023年実績)。参画後も約2人に1人が単価アップを実現
- リモート案件が豊富
- リモート参画率91%以上。在宅で働きたい方にも最適
- 充実したサポート体制
- 専任担当による定期フォロー、契約管理・請求処理のシステム化
レバテックフリーランスは、実務経験がある方であれば、まず登録しておきたいエージェントです。案件の選択肢が多いため、希望条件に合う仕事を見つけやすいでしょう。
ギークスジョブ
20年以上の実績を持つ老舗エージェントです。独自の福利厚生プログラム「フリノベ」が特徴的です。
- 大手企業との取引実績
- MIXI、サイバーエージェント、バンダイナムコなど有名企業の案件多数
- 独自の福利厚生「フリノベ」
- 健康診断、確定申告サポート、各種優待サービスを無料で提供
- 市場価値診断ツール
- 5分で自分の市場価値(月収目安)を無料診断できる
- イベント・勉強会
- Tech Valleyなど、エンジニア向けのイベントを定期開催
ギークスジョブは、福利厚生を重視したい方や、コミュニティ活動に参加したい方におすすめです。「フリノベ」はフリーランスの不安を軽減してくれる心強いサービスです。
Midworks(ミッドワークス)
正社員並みの保障を提供するエージェントとして知られています。フリーランスの不安を解消したい方に人気です。
- 給与保障制度
- 案件が途切れた際にも、一定期間の報酬を保障(条件あり)
- 社会保険料の半額負担
- 通常は全額自己負担の社会保険料を、Midworksが半額負担
- 交通費・経費の支給
- 月3万円まで交通費を支給。書籍購入費などの経費サポートも
- リモート案件80%以上
- 在宅勤務を希望する方に対応した案件が豊富
Midworksは「フリーランスの自由さ」と「正社員の安心感」を両立したい方に最適です。特に給与保障制度は、案件の切れ目を心配する方にとって大きな安心材料になります。
ITプロパートナーズ
週2〜3日稼働の案件が豊富なエージェントです。副業や、複数案件の掛け持ちを考えている方に人気があります。
- 週2〜3日案件が豊富
- フルタイム以外の柔軟な働き方を希望する方に最適
- エンド直案件が多い
- 間に入る企業が少なく、比較的高単価な案件が揃う
- スタートアップ案件
- 成長中のスタートアップ企業の案件が多く、新しい技術に触れる機会も
- トレンド技術の案件
- AI、ブロックチェーンなど最新技術を扱う案件も取り扱い
ITプロパートナーズは、自分のプロダクト開発と並行して案件をこなしたい方や、複数の仕事を掛け持ちしたい方におすすめです。
フォスターフリーランス
25年以上の歴史を持つ老舗エージェントです。高単価案件と手厚いサポートに定評があります。
- 高単価案件が豊富
- 最高単価230万円、平均単価も業界トップクラス
- 直請け案件が中心
- 商流が浅く、エンジニアへの還元率が高い
- 業界経験豊富な担当者
- IT業界出身のコーディネーターが多く、技術的な相談もしやすい
- 25年以上の実績
- 長年の信頼関係により、大手企業との取引が多数
フォスターフリーランスは、経験豊富なエンジニアが高単価案件を狙うのに適しています。担当者のIT知識が豊富なため、技術的なミスマッチが起きにくいのも特徴です。
PE-BANK
老舗の協同組合型エージェントです。マージン率を公開しており、透明性の高さが特徴です。
- マージン率を公開
- 8%〜12%のマージン率を明示。透明性が高く信頼できる
- 共同受注契約
- PE-BANKと対等なパートナーとして契約。自分の単価がわかる
- 全国に拠点
- 東京だけでなく、大阪、名古屋、福岡など全国に拠点を持つ
- 確定申告サポート
- 税理士による確定申告相談会を無料で開催
PE-BANKは、契約の透明性を重視する方や、地方在住の方におすすめです。マージン率が明確なため、自分の市場価値を正確に把握できます。
フリーランスHub
複数のエージェントの案件を横断検索できるプラットフォームです。効率的に案件を探したい方に便利です。
- 複数エージェントを横断検索
- 1つのサイトで複数エージェントの案件を比較できる
- 豊富な案件数
- 20万件以上の案件を掲載。幅広い選択肢から探せる
- 単価相場がわかる
- スキル別・職種別の単価相場を確認できる
- レバテック運営
- 業界最大手のレバテックが運営する信頼性の高いサービス
フリーランスHubは、どのエージェントに登録すべきか迷っている方の情報収集に最適です。まずはここで市場を把握してから、個別のエージェントに登録するという使い方もおすすめです。
自分に合ったエージェントの選び方
エージェント選びで重視すべきポイントを整理しましょう。
経験年数で選ぶ
- 経験1〜2年 Midworks(保障が手厚い)、ギークスジョブ(若手歓迎案件あり)
- 経験3年以上 レバテックフリーランス(案件数が豊富)、フォスターフリーランス(高単価)
- 経験5年以上 PE-BANK(透明性が高い)、複数エージェントをフル活用
働き方で選ぶ
- フルタイム(週5日) レバテックフリーランス、ギークスジョブ、フォスターフリーランス
- 週2〜3日稼働 ITプロパートナーズ
- リモート重視 Midworks、レバテックフリーランス
優先事項で選ぶ
- 案件数の多さ レバテックフリーランス
- 福利厚生 ギークスジョブ、Midworks
- 高単価 フォスターフリーランス、PE-BANK
- 透明性 PE-BANK
- まずは2〜3社に登録 案件の選択肢と担当者の相性を比較
- 面談で希望を明確に伝える 遠慮せず条件を伝えることで、ミスマッチを防げる
- 担当者との相性を重視 長く付き合うパートナーなので、コミュニケーションの取りやすさは大事
- 無理に決めない 希望に合う案件がなければ、焦らず待つことも大切
まとめ
- エージェントは案件紹介のパートナー 専任担当者が案件探しから契約までをサポートしてくれる
- 非公開案件にアクセスできる 公開されていない高単価案件や大手企業案件に出会えるチャンス
- 複数登録で選択肢を広げる 2〜3社に登録して、案件と担当者の相性を比較しよう
- 経験年数1年以上が目安 実務経験を積んでからエージェントを活用すると効果的
- 福利厚生も確認 健康診断や税理士紹介など、サービスによって福利厚生が異なる
次のセクションでは、エージェント登録に必要な「職務経歴書」と「スキルシート」の作り方を学びます。